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    ストレス

    元々ストレスは生体に生じた歪みの状態を表す概念です

     ストレスの元々の意味は「圧力」であり、生物学的には何らかの刺激によって生体に生じた歪みの状態を表す言葉です。ストレスには必ずその原因があり、その原因をストレッサーと呼び、物理的ストレッサー(例:熱・騒音)、化学的ストレッサー(例:薬物)、生物的ストレッサー(例:感染)、心理的ストレッサーなどの種類があります。現在では、ストレスといえば心理的ストレッサーによる心理的なストレスを指す言葉として広く使われています。  

    心理的ストレッサーにも様々な種類があります

     人間は周囲の環境から様々なストレスを受けます。その原因となる心理的ストレッサーには、例えば人間関係からくるものがあります。家族間、職場の同僚間、友人間の人間関係によりストレスは発生します。また失業、退職、子供の自立など、自身の役割の変化が原因の場合もあります。人間には様々な欲求がありますが、これが阻害されるときにもストレスを感じます。また、周囲の物理的環境もストレッサーになります。

    ストレスを受けると適応症候群が生じます

     最初にストレスを定義したのはカナダ人のハンス・セリエという生理学者です。彼はストレスとストレッサーを初めて定義し、適応症候群の理論を中心としたストレス学説を提唱しました。適応症候群とは生体がストレスを受けたときに、それに適応しようとして生じる一連の防衛反応のことです。適応症候群は、視床下部や副腎皮質などのホルモン分泌や自律神経系の活動により起こります。

    汎適応症候群には3つの段階があります

     適応症候群は汎適応症候群と局所的適応症候群に分けられますが、全身で起きる汎適応症候群には3つの段階が見られます。警告期、抵抗期、疲憊期の3つです。警告期は、ストレスに適応するために身体の体勢を整える段階です。まず、一時的に身体の反応性が低下するショック相という状態になり、次にホルモンの働きによりストレス適応反応が本格的に発動する反ショック相という状態になります。

    抵抗期はストレッサーとストレス耐性が拮抗する安定した時期です

     反ショック相の間にストレッサーへの適応反応が完成し、次の抵抗期の間はストレッサーとストレス耐性が拮抗した安定した状態になります。安定した状態ではありますが、これを維持するためにはエネルギーが必要になります。抵抗している間にストレッサーが取り除かれたり、環境に完全に適応できれば健康が回復しますが、エネルギーが枯渇してしまうと次の疲憊期に入ります。

    疲憊期はストレッサーに対する抵抗力が衰えていく状態です

     ストレッサーが長時間持続すると疲憊期に入り、エネルギーの枯渇とともに生体の抵抗力は衰えていきます。心拍・血圧・体温などの生体反応が低下し、生体は衰弱して最悪の場合は死に至ります。ハンス・セリエは副腎を摘出したマウスで実験を行い、警告期、抵抗期、疲憊期の3段階が起きないことを観察しました。このことから副腎皮質から出るステロイドホルモンがこの3段階に関与していることを明らかにしました。